2009年10月5日月曜日

ピアノ防音室について(音大受験生必見!!)



ピアノ防音室・・・ それはピアノを弾く人にとって生涯ついてまわる問題である。
ヴァイオリンやギターなどがうらやましくってしょうがない。

まずは私のこれまでのヒストリーをちょっぴりご紹介する。

私は、大学の時に上京をして、都内に住んだ。
もちろん、学生向けの安いワンルームマンションである。
家賃は確か7万円。グランドピアノは実家においてきた。
代わりに、東京では、電子ピアノを購入。イヤホンをすれば問題ないだろうと考えた。
ところがである。意外と、弾いた時の「カタカタ」という音が響くのである!!
気をつけて弾いていたつもりだったが、となりの住人から壁をどつかれた。

阿佐ヶ谷に、ピアノ練習室なるものがあり、一時間500円で弾かせてくれた。
アップライトばかりだったが、当時の私には貴重であった。
暇を見つけては通って練習をした。

しかし途中で、もう我慢できないということで、実家に置いてあったグランドピアノを
東京に持ってきた。このとき、練馬区にあった音大生やプロの音楽家向けの
ワンルームマンション(家賃85000円)が練馬で見つかったからだ。

どうやってみつけたか?知り合いの音大生の先輩が、音だし専門の不動産屋
さん(江古田にある)を紹介してくれたからである。

いろいろと話を聞いてわかったのは、通常、マンションなどでピアノやその他の楽器
(もしくは声楽など)が練習できるところは、西武池袋線沿線(武蔵野音大や東京音大
がある関係で)が多いこと。また、桐朋学園など京王線の仙川駅の近くなど、ということ
であった。山手線の中などはまずない。

また、私の住んでいた練馬区のマンションは、練習は朝9時から夜9時までとルールが決まっていた。
防音なわけではなく、音は漏れまくり。でも、住んでいる住人がみなそういう前提で住んでいる
ため、ルールさえまもっていれば苦情はこないし、こちらもできない。
私はいささかアンラッキーで、下の階にチューバか何かの金管楽器の人が住んでいた。
これがまたよく響く。おんなじフレーズを一日中何回も聞かされては気が狂いそうになった。
あとは、上の階の人はピアノの人であったが、たまに、声楽科の人が併せにきて、歌声が
よーく聞こえたものである。

その後、社会人になり、一時期会社の寮に入ったときは、グランドピアノは倉庫にあずけ(月5,000円)ていたが、結婚後に賃貸で住んだ小田急線のこのマンションは、4DKで、
かつグランドピアノが入る完全防音室がついていた。本当に運良くたまたま見つけたのである。
前に住んでいたのが、ピアノの先生か何かで、防音工事を施したようである。

そう、通常、世帯持ちやワンルームマンションなどに住まないような大人などは、
マンションや住宅を購入し、防音工事を施すのである。防音工事といってもピンキリで、
100万円程度のものから、800万円くらいするものまでいろいろとあるらしい。
一度、昔、あるピアニストの自宅(マンション)にお邪魔したことがある。
広いリビングに、スタインウェイのD(コンサートグランド)。リビングそのものが
防音工事がされているということであった。

あとは、まれに聞くのが、「うちのマンションはラッキーで、1Fの角部屋で、一番はじっこの
部屋にピアノを置いていて、となりも小学校なので、弾いても全然大丈夫なんです」という類の
もの。まあでもこういう物件はなかなかないですね。

まああとは、防音マンションは、通常音大の近くに点在しているので、昭和音大のある小田急線沿いにも、探せばあるかもしれない。


2009年10月2日金曜日

究極のリラクゼーション―「純正律」の世界


ピアノばかり弾いているので、平均律に慣れているが、やはり純正律の世界は
自然のものが体に浸み入るかのような感覚になる。こんな曲をYou tubeで発見。

http://www.youtube.com/watch?v=CwlkatSLfUM

純正律が何か、というのを専門的に解説できるほど詳しくはないのだが
こういうのを聴くと、理屈抜きで体感できるので不思議。

家にも、古典調律ヴァロッティによるシューベルトの世界というCDがあったので
聴いてみた。ん~なんとも優しいシューベルト。ピアニストは後藤育彗さん。

モーツァルトやショパンも純正律の世界で作曲をしたというのでとても興味深い。
平均律でプロの作曲家が曲をつくり始めたのはドビュッシーあたりが最初らしい。

もっとこのあたり、きちんと理解して人に説明できるくらい研究をしたいと思っている。
純正律とは、平均律とは、・・・etc.

全然話は変わるが、
リラクゼーションといえば、先週六本木ヒルズの「天空の水族館」(スカイアクアリウムⅢ)に
でかけた。魚たちが優雅に泳いでいる姿はまさにリラクゼーションであった。
もう一つのブログにそれを書いているので、そちらもご参照のこと!

2009年9月20日日曜日

辻井伸行さん クライバーンコンクール優勝 について



ピアニスチンが最近嬉しかったことの一つに、全盲ピアニストの
辻井伸行さんが、アメリカのヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール
に優勝したことがある。

辻井伸行さんは、幼いこからよくTVで紹介されていたので、
前から知っていた人も多いはず。
そして、このあたりのうわさでは、たまプラーザにある辻井産婦人科
の息子さんだとか。実際に新百合ヶ丘からたまプラーザにいく途中に
車で通るときに何度か見たことがある。

これまで、全盲ピアニストといえば、梯剛之(かけはしたけし)さんが
有名だった。彼も、全盲者用のピアノコンクールではなく、一般の人と
たたかって、ロン・ティボー国際ピアノコンクールで2位を取っている。

ここで冷静な分析をしてみたい。
辻井さんと梯さんは、本質的には全然違うタイプのピアニストである。
一般的に言って、全盲のピアニストは、やはり耳が通常よりも発達して
いるからか、音が非常にきれいで、音楽性で非常に感動させられること
が多い。裏をかえしていうと、やはりそのハンディから、テクニック的
には少し劣ると言わざるをえないことが多いのである。しかしその
劣った部分をすばらしい音楽性でカバーしているのである。

梯さんのリサイタルに何度かでかけたことがある。
アンコールで弾いた曲であったか、フォーレのノクターンの演奏があった。
えもいわれぬようなその透き通った音に、私を含め聴衆は深い感動に
つつまれた。

一方辻井さんは、これまでの全盲ピアニストとは違って、テクニックが
ある。
目が見えてもその跳躍の多さから、はずさずに演奏するのが難しい
リストのラ・カンパネラを、見事に弾いてのけた。
ショパンのコンチェルトも素晴らしかったし、ベートーベンのハンマー
クラヴィーアも圧巻。
おそらく彼の中には、ピアノの88鍵すべての位置が正確な距離感をもって
完璧に体が記憶しているのであろう。

ただしテクニック的に弾けるピアニストはゴマンといるわけなので、今後の
辻井さんには、音の質や音楽性という意味でも聴衆を感動させられる
ピアニストになって頂きたい。なぜならばそうでないと、一過性の話題として
忘れ去られてしまう可能性があるからである。

いろいろと書いたが、同じ日本人として彼は日本の誇りだし、
その突出した才能と、これまでの努力には本当に脱帽である。

またここでぜひ言及しておきたいことがある。
日本では全くと言っていいほど取り上げられないが、実はクライバーンコンクールでは優勝者は2人いた。
つまり、1位が2人で、そのうちの一人が辻井伸行さん。ではもう一人は?
Haochen Zhangという、コンクール最年少の中国人青年である。

私はコンクールの様子を、ウェブにアップされていた動画で見ていた。
このHaochen Zhangこそ、大本命の一位の人物。
はっきりいって、他の参加者を寄せ付けないほどの音楽性と、テクニックがある。

ベートーベンのソナタOp110で見せた深く美しい音楽は、とても19歳が
弾いているようには思えない。
ショパンの前奏曲、プロコフィエフの協奏曲2番、ストラビンスキーのペトルーシュカ、どれをとっても素晴らしいの一言である。
日本ではほとんど知られていないが、今後楽しみなピアニストである。